サカナクションのライブに参戦してきました。
他のロックバンドはなかなか好きになれないのですが、サカナクションだけは違うんですよね。ライブの演出でも光やガラスアートなどで見事に表現される幻想的な世界。
ロックバンドってなんとなく怖いから苦手……って信じ込んでいた自分をどっぷり引き込んでくれたのがサカナクションなのです。
サカナクション沼にハマって約2年。以前から感じていたことがあります。それは、
「サカナクションの名曲はアルバムの最後にある」説。
2017年11月現在、6枚のアルバムをリリースしている彼ら。各アルバムの最後に収録されている楽曲を選りすぐって紹介していきます。
再生を歌うサカナクションのアルバムの着地点
アルバムCDを皆さんも購入した経験があるかと思いますが、最後に収録されている曲は「アルバムという一つの物語の完結」に相当すると思います。
映画やドラマも音楽CDと同様ですが、「終わり良ければすべて良し」という諺があるように、クライマックスシーンや最終回など〆の演出は重要な役割を果たしています。
寒い季節になると温かいお鍋なんかを食べたくなりますが、どんなにまずいお鍋も〆の雑炊が美味しければそれでいいっていう話もあります(笑)
サカナクションが発表している6枚のアルバムの最後に収録されている楽曲は以下の通り。発表順に記載。
- 夜の東側
- アムスフィッシュ
- human
- 目が明く藍色
- ドキュメント
- 朝の歌
これら6曲に一貫して共通していると私が考えるワードがあります。それは「再生」。
全6曲の中から3曲に絞って、「再生」というワードに沿ってご紹介していきます。
サカナクションの世界を凝縮したアルバム最終曲3選
夜の東側
彼らのデビューアルバムである『GO TO THE FUTURE』に収録されている楽曲。このアルバム全曲の作詞作曲をボーカルの山口一郎氏が担当しています。北海道出身の彼らが全曲を地元で製作収録したといいます。
『夜の東側』というタイトルは一見不思議に聞こえますよね。
夜は東側から終わっていく、太陽に照らされて夜の世界が狭くなっていく。
楽曲内に登場する「夜を読む」や「夜間飛行の続き」という語彙を見つける山口氏のセンスには尊敬の念を強く抱きます。
深夜の眠りの前。まぶたの重さを感じながら現実と夢の境界で自問自答を繰り返す。情景がはっきりと浮かんでくる、文学的な歌詞が印象深いです。
直近のツアーで披露され、実際に会場で聴いたという方も多いのではないでしょうか。僕にとっても大好きな楽曲の1つで、目の前で聴くことができたというのは感動ものでした。
目が明く藍色
サカナクション – 目が明く藍色(MUSIC VIDEO)
2010年に4枚目のオリジナルアルバムとしてリリースされた『kikUUiki』に収録されている、ファンからの人気も高い楽曲です。
2017年にデビュー10周年を迎えた彼ら。その際にファンから投票を募り決定した「あなたが選ぶサカナクションの名曲ランキング」で1位を獲得。ライブで披露されました。
作詞作曲のボーカル山口一郎氏が9年という膨大な時間を構想にかけて完成した楽曲でもあります。演奏時間は約7分。アルバムの終わりにもう一つの濃密な作品を体験している感覚になるような、重厚な音楽と繊細な歌詞が心に残ります。
『目が明く藍色』の前に収録されている『壁』という楽曲。この2曲が対極にあって「死と再生」を表しているというエピソードを聞いたことがあります。
アルバムタイトルは「kikUUiki」。
“kikUUiki(キクウイキ)”とは漢字で書くと「汽空域」であり、海水と淡水が交わる水域「汽水域」から創られた造語である。淡水と海水、田舎と都会、ロックとクラブミュージックなど本来相容れないものが、混ざり合うところという意味が込められている。
本来相容れないものが混ざり合う世界。「死と再生」というワードがサカナクションの中で混ざり合う。ぜひアルバムを通して聴いていただき、最後に『目が明く藍色』を体験すると鳥肌が立つほどの感動が得られるはずです。
朝の歌
彼らの最新アルバム『サカナクション』に収録。先ほど紹介した『目が明く藍色』にも共通する、相容れないものが混ざり合うものを表現した楽曲です。
「夜と朝」という混ざり合わない関係。夜が終われば朝が来るように隣り合わせであるのに混ざり合うことはない。この相反する関係は山口一郎氏によって「朝が月や星を食べてく」と表現されています。
この楽曲から伝わる「朝の色」は決してスッキリと晴れたような青色ではなくて、青色に少し灰色が混ざったような、混沌とした朝の色です。
以上、3曲を紹介してきました。
今回紹介した3曲を通して聴くだけでも、サカナクションの一つの世界観が垣間見えると感じます。それは「深夜を泳ぎ回る夢の魚」であるかもしれませんし、「朝に浄化される前の煩悩だらけの自分」であるとも個人的に思います。
初めて聴いた時から「自分自身の楽曲の受け取り方」が変化していくほどの深い海のようなサカナクションの楽曲。深夜の広い海を泳ぎ回る魚のように、正解のない空間を歩き回る心を表しているのではないでしょうか。
あなたの感想もぜひ教えてください。お待ちしています。
なお、残り3曲は私には難しく記事にできなかったので、これを読んでくださっている方で「ブログに書きたい!」という方がいましたらぜひお願いします。コメントをいただければリンクを貼らせていただきます。
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